少女前線

【少女前線 日本語訳】コラボイベント『瓦爾哈拉』 ストーリー 第2話『青春期』(前編)【VA-11 Hall-Aコラボ】

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第2話『青春期』(前編)

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…………
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……その夜、グリフィンシティにて。
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セイ
セイ
うーん……間違ってないはずだけど……
セイ
セイ
VA-11……ここね、間違いない

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……ホワイトナイトはドアを開けた。
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ジル
ジル
Present Day、Present Time
ジル
ジル
こんばんは、ホワイトナイトさん
セイ
セイ
あ……こんばんは……
セイ
セイ
(くんくん)ここの臭い、ジェリコ隊長から聞いてたのより凄いかも
セイ
セイ
あ、ごめんなさい…私ったらつい
ジル
ジル
いいんです。自分が働いてる店のことはよくわかってますから
ジル
ジル
あなたがジェリコの言ってたパートナーね、彼女はここの常連なの、どうぞ座って
セイ
セイ
ええ、彼女にここで会うように約束したの、あなたがここのマスター?
ジル
ジル
はい、ジル(Jill)と呼んでください
ジル
ジル
はじめまして、ホワイトナイトさん、あなたは電撃隊765師団の一員?
セイ
セイ
はい、私はジェリコ大尉の副官、セイ=P=アサギリ(Sei=P=Asagiri)です
セイ
セイ
ええと…まずは何か注文した方が良いわよね?
ジル
ジル
ご自由に、メニューはこちらです。もっと強いお酒か、それとも人形みたいにちょっとだけがいいです?
セイ
セイ
こういう場所にはめったに来なくて、この後は任務だし
セイ
セイ
ええと……それじゃシュガーラッシュを一杯もらえるかな
セイ
セイ
今夜は任務があるから、カルモトリン(アルコール代替品)は無しで頼める?
ジル
ジル
大丈夫ですよ、ジェリコから聞いてますから、ちょっと待っててください
セイ
セイ
そんな気はしてたけど、ジェリコ隊長が――でもマスターなのに、自分でカクテルも作るのね?
ジル
ジル
ギリアン(Gillian)っていう名前の従業員もいるんですが、今日は砂の雨に抗議するデモに参加してて
セイ
セイ
ああ、私もちょうどそこを通ったの、今度のデモの規模は間違いなく大きいね
ジル
ジル
私とお喋りしててもいいんですか?ホワイトナイトはデモで彼らに対処しないといけないんじゃ
セイ
セイ
ホワイトナイトは邪悪な帝国の手先じゃないからね、私たちは報酬を貰って仕事してる公務員だから
ジル
ジル
それはわかってますけど、デモに参加してる市民はほとんど武装してるじゃないですか
セイ
セイ
確かにね。もっとも彼らのほとんどは弾の込め方も知らないし、あるいはメンテナンスを怠ってるだろうから、暴発の危険もある。あれじゃ扱う本人達にとっての方が危険よ
セイ
セイ
幸い私たちにはさまざまな救急と消防任務を担当するヴァルキリー隊もいるしね
ジル
ジル
それで、今度こそ首相は出てくると思います?
セイ
セイ
わからないわね、首相は娯楽活動のみを担当してて、彼女の組織は災害を防ぐみたいな諸々よりも、ディスコダンスの方がよくわかってるみたいだし
ジル
ジル
首相が本当に全力で街を管理しているのか疑問に思えてきたわ……
セイ
セイ
こんな噂聞いたことない?
セイ
セイ
曰く……ドロシー=ヘイズ首相は傀儡にすぎず、誰かがその背後からこの街を支配している
セイ
セイ
でもそうだとしたら、どうしてこの本当の支配者さんは毎月朝早くからこの世界に砂を落とすのかしら?
ジル
ジル
先月、ベジタリアンバーガーショップで、人類文明の時代を世界の創造神が試してるんだ、なんて放浪者の人が言ってたのを聞きましたけど
セイ
セイ
でも、信者たちは自分たちの神様を試すことなんてできないでしょ?それって不公平じゃない?
セイ
セイ
それに周りを見てると、例え作った世界がどうなっても取るに足らないと思ってるんじゃないかしら?……ってそんな気がしてくるの
セイ
セイ
私たちは人形を作り出しはしたけど、今でも私たち原住民はとても脆弱な体よ。でもそれは悪いことではないと思うわ。ただ砂についてはちょっと心配だけど
セイ
セイ
要するに、私はこの問題については何も言う権利はないわ。私は仕事と周りの人のこと以外は、そんなたくさん気にしてられない
ジル
ジル
でも良いんじゃないでしょうか、結局、誰もが陰謀論が好きなんですから
ジル
ジル
ところで、ヘルメットを脱いでもらえますか、原住民区でもそれを身に着けて現れるのは歓迎されたものじゃないですよ
セイ
セイ
え?ごめんなさい。さっき被ったばっかりなのに、もう馴染んじゃってて
ジル
ジル
わかりますよ、私のお気に入りのポスターだって今週も貼ってありますから
ジル
ジル
どうぞ、シュガーラッシュです

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……セイはヘルメットを脱いで手近なところに置いた。
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セイ
セイ
ありがとう……あ、私この味が好きかも
ジル
ジル
それはよかった、それにしても今晩最初のお客さんがホワイトナイトだなんて
ジル
ジル
待って……あなたの顔、どこかで見たような……
セイ
セイ
え?そ、そう?
ジル
ジル
……あなたステラ=星井のボディガードじゃない?彼女が一度、街頭演説をした時にあなたが傍にいるのを見たわ
セイ
セイ
ええと…それは2年前だったはずね、あなた彼女を知ってるの?
ジル
ジル
もちろん、グリフィンシティ一番のお金持ちを知らない人なんているかしら?
ジル
ジル
彼女のI.O.P財団は、この街で多くの事業を行ってますし、しかも街の子供たち皆にクリスマスプレゼントまで配ってる
ジル
ジル
彼女が一度ここに来て飲んだことがあったけど、だいぶ昔のことね
ジル
ジル
外見からじゃわからないけど、いい人よね。誰もが彼女がこの街のためにしたことを知ってますよ
セイ
セイ
それを聞いたらあの人も喜ぶと思う。でもご覧のとおり、今はホワイトナイトで食べてるから、彼女とはもう何の関係もないわ……
ジル
ジル
聞いてはいけなかったかもしれませんね、でもどうして私にそのことを?
セイ
セイ
初めてここに来た私が言うべきことじゃないと思うんだけど、ジェリコ隊長はあなたが信頼できる人だと言ったから、私はそんな風に感じたの
ジル
ジル
これが私の仕事ですから、私はそれが大好きですし。犬や迷惑な客じゃなければですけど

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……セイが何口か含むと、すぐにグラスの底が見えた。
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セイ
セイ
……私は子供の頃からステラと親友なの、私たちは最初児童公園で知り合ったわ
ジル
ジル
彼女のスピーチで彼女とあなたが公園での鉄血の襲撃に見舞われたと言ってたのを覚えてます
セイ
セイ
彼女は勇気を出してその事を公表したわ。私も彼女に勇気づけられたの、鉄血との戦いはホワイトナイトだけの仕事であってはならないわ
セイ
セイ
その時から彼女と私は決心したの、必要なもの全てを使ってより良い世界を創造するって…
ジル
ジル
なるほど、でもいいことじゃないですか?
セイ
セイ
ええ、でも世界はほとんど駄目になってた。事情はいっぱいあるし、誰もが何かを成すことができるわけじゃないわ
セイ
セイ
でも困難となれば、ステラは……それに強く固執するところがあって……
セイ
セイ
特に3年前の最初の砂の雨の後、彼女はますます極端になった。それで彼女と働くのがますます難しくなって……
ジル
ジル
どうして?何か理由が?
セイ
セイ
彼女はまだ鉄血を追いかけていると思う、あの時の襲撃で彼女は右目を失って、彼女は決してそれを忘れない……
セイ
セイ
彼女は恨んでるって言ってたけど、むしろある種の恐怖を覚えてるんだと思う、私にはわかるの……
ジル
ジル
おっしゃったとおり、過去3年間の鉄血の襲撃事件は随分減りました、これもステラさんと関係が?
セイ
セイ
わからないわ、誰もどうしてかはわからないし、あの人は誰にも言うつもりがないみたい、私を含めてね
セイ
セイ
あの人はたまに私を連れて行かないで一人で姿を消すことがあったわ、私……彼女のボディーガードだったのにね?
セイ
セイ
その後、私は彼女とよく相談して、ボディーガードの仕事をやめて、彼女のもとを離れた……
ジル
ジル
それからあなたはホワイトナイトに?
セイ
セイ
そう、ホワイトナイトは常に鉄血を倒し街を守ることが使命
セイ
セイ
私はこの街についてもっと知りたいの、そしてもっと多くの人々の心の声に耳を傾けて、私は自分のやり方で彼女を助けたい
セイ
セイ
でも、それ以来彼女は私を避けてきた。あるいは彼女はみんなを避けてるのかもしれない、ただそれでも……私は彼女がまだいい人だと思ってる
ジル
ジル
彼女は過去3年間表に出ていないし、特にここ数ヶ月の間は、ニュースですら聞きませんね
ジル
ジル
彼女はどうなったの?まだ連絡を取り合ってたりは?
セイ
セイ
昨夜以外はなかったわ
セイ
セイ
ちょうど昨夜、彼女は突然私にメッセージを送ってきたの
ジル
ジル
……メッセージ?
セイ
セイ
それが何を意味するのか私にはわからない。少なくとも彼女は私が今やっていることを知ってる
セイ
セイ
とりあえずやってはみるけど……あの人は私のことを考えてるかな?
セイ
セイ
でもどうなってるかな?彼女は新しいボディガードを雇っていて、違う道を選んでしまってたら……
ジル
ジル
そんなこと言わないで、例え一緒でなくても、あなた達はまだ友達でしょ?
ジル
ジル
私は、少なくともあなたは彼女と話すべきだと思う
セイ
セイ
うん、次の作戦の後、考えないとね……
ジル
ジル
大丈夫ですよ、砂が南半球をすぐに埋めることはありませんよ、まだ時間があります
ジル
ジル
一杯おごらせてもらえませんか?何を飲みたいです?
セイ
セイ
いいの?私は今夜初めて来たのに
ジル
ジル
気にしないで、あなたにせよステラさんにせよ、あなた達の仕事は全部私にも関係あるんだから
ジル
ジル
だから、どうか幸運を――
ジェリコ
ジェリコ
あなた達の友情を乾杯しようとしているなら、どうして私も混ぜてくれないのかしら
セイ
セイ
あ、こんばんは、ジェリコ隊長!
ジル
ジル
遅いわよ、ジェリコ
ジェリコ
ジェリコ
大変でした、フランスパンを持った警官気取りと彼女が拾った小さなペットのせいで……
ジェリコ
ジェリコ
でも、今済んだところです。ちょうどターゲットのスキャンは完了して、座標とそれに関連する情報も既に特定しています
ジェリコ
ジェリコ
ジル、あなたセイにアルコール飲ませたりしませんでしたよね
ジル
ジル
……もちろん、ちゃんとあなたの言いつけ通りに
ジェリコ
ジェリコ
セイがカクテル飲み終わったら私たちはすぐに出発します
セイ
セイ
今すぐ行きましょう、私たちを待っている人はたくさんいます、時間は無駄にできません
セイ
セイ
私たちが戻ってきたら、ジルさん、お祝いに強いの一杯もらうわね
ジル
ジル
重大任務みたいね
ジェリコ
ジェリコ
重大なことをあなたに話したりなんかしたら、私は可愛い総理大臣に直々に取り壊しの烙印を押されてしまいます……まずは現場に行きましょう。ジル、また来ます

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……ジェリコとセイはジルに別れを告げると、バーを出た。
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セイ
セイ
エリザの行方を見つけたのですか?
ジェリコ
ジェリコ
見つけました、ようやくです……
ジェリコ
ジェリコ
エリザの隠れ家は、やはりアーキテクトの頭の中にありました!
セイ
セイ
そんなに興奮なんてして珍しいですね、隊長
ジェリコ
ジェリコ
この時を、ずっと待っていたのです!
ジェリコ
ジェリコ
今、私たちがエルダーブレインを捕らえることさえできれば、私たちは鉄血のすべての犯罪を完全に排除することができます
ジェリコ
ジェリコ
砂の雨に対しては何もできません、ですがこれがグリフィンシティの市民が安心して外出できるようにするため、我々ができることです
セイ
セイ
わかっています、ジェリコ隊長
セイ
セイ
この作戦に参加できて本当に光栄です
ジェリコ
ジェリコ
しかし、あまりプレッシャーは感じないように。今の鉄血は特別高級なガジェットなど持ち合わせてはいないはず
セイ
セイ
わかっています、私はただ……
セイ
セイ
ジルさんとはたくさんお話はしましたけど、私はまだあなたにお礼を言っていませんでした……私がこの1年半で学ばせてもらったものに対して
ジェリコ
ジェリコ
セイ、あなたという人は……
ジェリコ
ジェリコ
私にとって、ホワイトナイトはただの仕事です、そして私はあなたを友達として扱ったことはありません
ジェリコ
ジェリコ
私はあなたをとても重んじています。ただ……私は「友情」を理解することはできませんが、私のメンタルは設計当初のものから変わりつつあります――
セイ
セイ
十分ですよ、隊長
セイ
セイ
原住民を普通の同僚として扱い、しかも軽視せず、または不必要な気遣いをしていただかないのが、私の望みだったんですから

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…ジェリコはセイを見た。
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ジェリコ
ジェリコ
私は自分が良き隊長だと思ったことは一度もありません……ですから感謝をしてもらわずともいいですよ
ジェリコ
ジェリコ
さあ、現場に着きました、気を引き締めてましょう

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……
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セイ
セイ
ここは元々原住民区ですが、ここでエルダーブレインを捜索するのですか?
ジェリコ
ジェリコ
情報によると、鉄血は近隣の空き倉庫に潜伏しています
ジェリコ
ジェリコ
誰が彼女たちををここに隠しているのかはわかりませんが、これは犯罪です
セイ
セイ
鉄血が……ここの倉庫に潜伏してる?
セイ
セイ
ステラも私もこのあたりで……ということは……
ジェリコ
ジェリコ
どうしたんです?
セイ
セイ
いいえ、大したことじゃないんです……
ジェリコ
ジェリコ
集中して、落ち着いてください、これがグリフィンシティを守るための最後の戦いです
ジェリコ
ジェリコ
行きますよ、エリザの潜伏場所を見つけ出しましょう!