このサイトに掲載している翻訳等の方針についてはこちら
第2話『青春期』(後編)
——————
……作戦が終わり、電撃隊は目的地である倉庫にやってきた。
——————
セイ
隊長、ここを見てください
セイ
情報の通り、こに隠し扉が
ジェリコ
パスワードは……開きました、アーキテクトの情報は確かでした
ジェリコ
地下に通じる通路が延びてますね、内部では信号は遮断されるますから、中に入って調べるしかありませんね
セイ
順調すぎますね、私は鉄血の戦闘用ユニットがさほどで強くはないのは知っていましたが、この下には罠があるんじゃ?
ジェリコ
もちろん有り得ます。ですから私はクラウドマップへのバックアップを済ませておきました
ジェリコ
私が先に行って偵察します、カバーを頼みますよ
セイ
任せてください、隊長
ジェリコ
我々には人間の脳をスキャンして、アップロードしたり変更したりする技術はありません
セイ
はい、人間の命は一つだけです、そして誰もがこの事を回りに話しています
セイ
ですがそのおかげで、原住民は常に軽蔑されているのでしょう
ジェリコ
少なくとも、私にそのつもりはありませんよ
セイ
人形はバックアップに頼ることで危険を冒します、そして人間は同じことをするために勇気に頼っています……
セイ
私はこれを証明するためにホワイトナイトに加入したんです
ジェリコ
……
ジェリコ
(ため息)私が本当にあなたの安全を気にしてないとでも思っていますか?
ジェリコ
私のにとっては、人間と人形は同じ部下です、あなた達に区別などありません
セイ
ありがとうございます、ジェリコ隊長
ジェリコ
副隊長、私の背後のカバーを、他の者は外で待機してもらいます
ジェリコ
隠れている鉄血のエルダーブレインが見つかるのか、それともどんな企みが待っているのか
——————
……10分後、ジェリコとセイは通路を通り、地下へと辿り着いた。
——————
セイ
他の信号は検出されてません、近くに鉄血のユニットはいません
セイ
これは……工場ですか?
ジェリコ
既に廃棄されているようですけどね、そして何年もの間誰も入ってこなかったようです
セイ
だからこそ、ここは本当に鉄血の巣窟なんですね
セイ
エルダーブレインはどこでしょうか?探してみましょう
ジェリコ
気をつけて、あなたが勇気に満ちていたとしても、死んだらそれまでです
セイ
私はあまり頭が良くないですけど、愚か者でもないですよ、隊長
セイ
ん?こんなところにハッチが……
セイ
隊長、こっちへ!
——————
……ジェリコとセイは急いでハッチを開けた
——————
??
…………
セイ
これは……
ジェリコ
鉄血のエルダーブレイン、最高権威者――エリザです
ジェリコ
ようやく見つけましたよ
??
…………
セイ
彼女……動かない?
ジェリコ
なるほど……
ジェリコ
……彼女どうやらバッテリー切れのようですね
セイ
え?バッテリー切れ?
ジェリコ
この工場と同じで、もう2、3年間はそのままなのでしょう
セイ
どういうことです?不可能です、鉄血は3年前から活動しているのに!
——————
……ジェリコは答えなかった、身を屈めてエルダーブレインをチェックを続ける。
——————
ジェリコ
……彼女の鉄血指揮用モジュールは……とっくに無くなっています
セイ
……
セイ
つまり……
セイ
この3年間、鉄血を操っていた真の元凶はエルダーブレインではなく、ずっと別の誰かだったと
ジェリコ
なんて恐ろしい……
ジェリコ
私たちはアーキテクトに図られたようですね、そして、彼女の舞台裏の主は彼女の頭の中の情報で私達を騙すように指示をした
ジェリコ
小癪な真似を……戻ったら、四川チリソースに彼女の頭を浸してやりましょうか、そして彼女の主――鉄血のモジュールを奪った元凶を見つけてみせましょう!
セイ
……
ジェリコ
セイ、大丈夫ですか?
ジェリコ
落胆しないでください、結果から調査の一環に変わったにすぎません、我々はまだ追跡し続けることができます
ジェリコ
この廃棄倉庫は鉄血の巣窟であるからには、アーキテクトの主を洗い出すこともできるでしょう、誰があれを持ち去ったのかも――
セイ
ジェリコ隊長……
セイ
昨夜、ステラが私にメッセージを送ってきたんです
ジェリコ
……なにを?
セイ
彼女は私に聞いたんです…
セイ
「子供の頃、かくれんぼをした場所を覚えてるか?」
セイ
「私の秘密を守ってくれないだろうか?」
ジェリコ
どういう意味です?
セイ
ジェリコ隊長、この辺りは私が子供の頃ステラとかくれんぼで遊んでいた場所なんです
セイ
私は彼女を見つけられないこともありました、彼女はいつも倉庫の人目につかないところを沢山知ってて……
セイ
そんなある日、あの倉庫はもう彼女達の家のようなものだって……私に言ったんです
ジェリコ
なんですって?
ジェリコ
待って!彼女がエリザの指揮モジュールを取ったとでも?!
ジェリコ
ステラ=星井!彼女がアーキテクトと、全鉄血の本当の主だったのですね!
——————
……ジェリコは立ち上がろうとした、しかし、突然弾丸を込める音が彼女の背後から聞こえたので、それをやめた。
——————
ジェリコ
セイ……
ジェリコ
ステラが私に銃を向けるように頼んだのですか?
セイ
いいえ、彼女は何も言わなかった……
セイ
でもこれが彼女のためなら……こうしようって……
セイ
その時の私は、彼女に絶対にと約束することは出来ませんでした
ジェリコ
……これがステラの計画ですか
ジェリコ
彼女はアーキテクトにわざと我々に捕まえるように指示し、我々を騙してここに連れてきた後、あなたの手で私を始末させようとしている……
セイ
こんなことしたくは無いんです……万が一にあなたに何か起きたらと思って、あなたと来たのに、まさかこんな……
ジェリコ
まさか、自分がその「万が一」になるだなんて思わなかったというわけですか
セイ
ごめんなさい、ジェリコ隊長……
セイ
今、私には選択肢がありません……
セイ
ホワイトナイトにステラを逮捕させるわけにはいかない。私は必ず……秘密を守らなきゃならない
ジェリコ
次に何が起こるのかわかりますか、セイ?
ジェリコ
ここの信号は完全にブロックされています。バックアップ用にメモリをアップロードすることはできません
ジェリコ
一度引き金を引けば、私は次目覚めるときはこの部屋に入ったこと、その全てを忘れるでしょう
セイ
はい、わかってます……
セイ
私は嘘をつくし、あなたは私を信じてくれる……
ジェリコ
私はきっとあなたを信じるでしょう、あなたは私の最も信頼できる部下ですからね。そして私のメンタルは忌々しいことに電子プログラムで出来ています
ジェリコ
私は自分を手にかけた者と友になり続け、一緒にバーに戻りまだ飲めていないカクテルを飲み、空っぽの勝利を祝うのでしょう!
ジェリコ
こんなことが公正だと思いますか、セイ?鉄血だって私を殺したことは一度も無いというのに!
ジェリコ
そしてあなたは私を殺して、そして傘ウイルスを持った人物を助けようとしている、彼女は今まさにグリフィンシティの人々に害を及ぼす準備をしているかもしれないんですよ!
セイ
私……私にはわかりません……あの人が何をどうしたいのか。でも、私はステラを守りたい、彼女にも理由があるはず
セイ
ジェリコ、私はあなたとは違います、私はただ一つの命、たった一度の機会……
セイ
ただ彼女の為ならなんにでも成れるし、どんな危険だって犯しましょう、そしてどんな事だって成す事を選びます!
ジェリコ
本当に?私はあなたが撃つのを恐れているように見えますよ、あなたは昂ぶり過ぎています。セイ、まるであなたらしくない……
セイ
私は本気です、ジェリコ!
セイ
政治的意見、世論、人権責任、人形、人類、そんなもの全部どうでもいい!
セイ
私は成し遂げます……彼女が私を信じてくれるだけで、私はやれる……
セイ
私はただ…ただ友達のために何かしたいの……
——————
……ジェリコはしばらく沈黙していた。
——————
ジェリコ
「友達」というのは私は理解できませんが……
ジェリコ
私が人間で、ステラが人形だったら、どうしますか?
セイ
……わからない
セイ
もしそんな風に出会っていたら、その「私」は今の「私」とは違ったと思う……
ジェリコ
そうですね……
ジェリコ
友情ですか……本当にあなた方だけが信じることが出来るものみたいですね
ジェリコ
それでは、最後に一つだけ
ジェリコ
装備に使用情況が記録されるのは知っていますね、人形が銃を抜いて射撃を行ったデータです……
ジェリコ
……これが全ての人間に対しても適用されてるとしたら?
セイ
……!
——————
……バン!
——————
セイ
……ジェリコ隊長?
ジェリコ
その様子だと……気付いてませんでしたか……
ジェリコ
やはり……冷静では……ないようですね……
——————
…ジェリコは地面に倒れた。
——————
セイ
ジェリコ、ジェリコ!
セイ
そんなつもりじゃ……!私……
ジェリコ
大丈夫です……
ジェリコ
大丈夫ですよ、セイ……
セイ
どうして……ジェリコ隊長……
セイ
ごめんなさい……私……
ジェリコ
いま……あなたがやろうと思っていたことをしただけですよ
ジェリコ
大丈夫です……ただの気まぐれですよ……
ジェリコ
あなた達みたいに……
ジェリコ
友達のために……何かを……
ジェリコ
……