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第1話『ディジェリドゥ吹奏指南』(前編)
アナ
ねぇねぇ
アナ
こっちこっち
アナ
ばぁっ!
アナ
どう?ビックリした?
アナ
ゲームはもう始まってるんだから、あなたは今回が初めてじゃないかもしれないけど、プレイヤーへの第一印象って大事でしょ
アナ
うんうん、やっぱり混乱してるよね、私に説明させて
アナ
これから始まる物語はあなたの記憶の中とは全く関係ないわ
アナ
あなたは新しいパラレルワールドに行くってわけ、で、あなたのアイデンティティやあなたの友人との関係もあなたが知ってるものとは違ってくるわ
アナ
あなた何人かまた新しい友達として、グリフィン人形達と会うことになるわ
アナ
あなた達は一緒に不思議な冒険に直面するかもしれないし、大ピンチに陥るかもしれない
アナ
でも私が前に言ったとおり、人生の90%は受け止め方しだい!
アナ
何が明るい面なのかはやっぱりわからないんだけどね?私にはさっぱりだけど、集中してないと突然あなたのところに降りかかってくるかもね?
アナ
グッドラック、ジュリアン、それからジョー
アナ
……そしてこの世界にもね
——————
…………
——————
MP5
まだ着かないの?
MP-446
ふふん、怖いの?MP5?
MP-446
まだまだだよ、ガイドさんがこの先で私たちを待ってる
MP5
ここは暗すぎます、廃墟だらけだし、何が起こるか……
MP-446
まったく、ガイドさんは誰もここにいないって言ってたでしょ
MP-446
それに私もいるんだから、安心して――
MP-446
…ってギャー! !
MP-446
ライト…ライトはどこ…?
——————
…MP-446は震えて懐中電灯をつけた。
——————
MP-446
なんだよ、ビックリした…原住民の頭蓋骨かと思ったら、鉄血のダイナーゲートの残骸じゃん
MP5
バイキングさん……
MP5
本当はあなたも暗くて怖いんじゃない……そうなんでしょ?
MP-446
そ…そんなことない!暗いのが怖くて、どうやってグリフィンシティ(Griffin City)に住めるのさ!
MP-446
わ…わたしのバッテリーが足りなくなるんじゃないかって心配になっただけだよ。出発したとき79%だったけど……
MP-446
でも、あの退屈なパレードから逃れられるんだったら、たとえ捕まって砂を押すことになっても構わないよ
MP5
もっと安全な場所に行くべきですよ、例えば自由の女神やピラミッドを見るとか……
MP-446
ふん、石のガラクタなんて見て何が楽しいのさ?しかもピラミッドじゃ電気も通ってないじゃないか!
MP-446
さあ歩くんだ、MP5、この探検を成し遂げられるのは私たちだけだよ!
MP-446
それに私も信じてるガイドさんがいるし、彼女はグリフィンで一番クールな原住民だよ!
??
ありがとう。だが探検家と呼んでもらえると嬉しいのだがな
??
皆の者、私はこの先が安全であると確信している。少なくともここには3年は人が来ていないはずだ
MP5
3年……まさに「あの時」から始まった……
??
その通りだ、愛らしい人形の少女よ
??
お前が「オーグメンテッドアイ(The Augumented Eye)」を購読しているなら、世界の終わりについて様々な仮説を見たことだろう、そしてお前たちの正面にあるのがそれらを裏付ける証拠の一部というわけだ
MP-446
そうそう、もうすっごく期待しちゃうよね!ここでスキャンした全部を、グリフィンシティの友達みんなに伝えるんだ
MP5
私はただただ怖いですけど、この辺りは本当に鉄血が出ないみたいですけど、戒厳令が出ているみたいですし――
??
私は彼らが掴んでいないものを見つけたいのでな――二人とも、認証システムをオンするから、しばし待ってくれ
——————
…ピピッ。
——————
電子ドアが開いた。
——————
MP-446
電子モジュールを使わずに認証をパスすることなんて出来るの?
??
人形に原住民の歴史の授業など必要がないのはわかっている、だからこそ人類の文明が絶滅する前に我々がより権威のある種であったと思い出してほしくなるのだ
MP5
すみません…私はまだ「人類の文明」という言葉を理解することができなくて、まるで…「肉を食べるキリン」のように聞こえます…
MP-446
《オーグメンテッドアイ》が言うには――
MP-446
人間は、異星人の文明の奴隷であり、彼らの目的は所有者の球形の水上庭園に、ありとあらゆる種類の素晴らしい景色を築くことのみだって
MP5
今や《オーグメンテッドアイ》は有史時代前の動物フィルムくらいしか見どころがありません
MP5
クーガーの話題が最終的に中年シングルマザーの女性原住民の生存困窮にまで広がってましたけど、めちゃくちゃで面白くはありましたが
MP5
あっすみません、ガイドさんを「原住民」と呼んでしまって
??
何を気にする必要がある?本当のことだ
MP-446
大抵の原住民の人はそう呼ばれるのは好きじゃないみたいだけど、だって人間が原住民にやってきたのは彼らの家を燃やして土地を手に入れるようなことだったみたいだし
??
その文明人の行為によって、ありがたい事に人類の文明は早々に絶たれてしまったというわけだ
??
しかし、もしお前たちが次もまたと来たいと思い、私に連絡を取りたいなら、ここに私の名が記してある――見ろ
MP5
えーと…でもこれはガイドの証明書ではないですよね?
??
そうとも、これは私がレスリングの試合で取ったメダルだ
MP5
待って!あなたデイナ=ゼインですか?!
MP5
あ、あなたが「グランドスラム」の勝負でMK48を破った赤い彗星!
MP-446
だから言ったでしょ、彼女はグリフィンシティの最高にクールな原住民だって!
デイナ
デイナと呼んでくれ、それは私のコードネームだ。我々はお前たちのように手にした武器から名前をとっているわけではないのでな
デイナ
よし、着いたぞ!
デイナ
皆の者、刮目せよ。お前たちが目にするのは、人類文明の最後の奇跡――
デイナ
アーーースコンピューター!
デイナ
……の遺跡だ
MP5
うわぁ……
MP5
……
MP5
でも……電子廃棄物の山以外は何も無さそうですね
MP-446
本当にボロボロ、ここで何があったんだろ、この傷跡は……
MP-446
ちょっと待って、この傷……鉄血が残したやつだよ!
MP5
え?
MP5
ああ!ちょっと待ってください、この電子廃棄物!これって鉄血の残骸です!
MP-446
どういう事――!
MP-446
ちょっと!みんな……何か聞こえない?
——————
……ドン、ドン、ドン。
——————
……足音が空っぽの部屋に響き渡った。
——————
MP5
きゃ!バ、バイキングさん――
MP-446
なに?!どうしたの?
MP5
あっちから……声が……
MP5
鉄血…じゃないとしたら…
MP5
あの……人間と人形を食べるっていう電子怪物……
デイナ
その噂はずいぶん誇張されてると思うが?
MP-446
ねぇ――あそこのワイヤー!あそこに――
MP-446
あの影は?
MP5
お、大きな影が……
デイナ
……光の加減で大きく見えてるだけだ
??
うぅぅぅ――!!
MP5
いやぁぁあああ!
MP5
来ないでぇぇぇぇ!!
MP-446
うぁぁ! MP5、待って、待ってよ――!
MP5&MP446
うぁぁぁぁぁぁ!
デイナ
右手に地心エレベーターがある、東アジア大陸からベネズエラ直通だ!未払い分とチップを払わないなら捕まえに行くからな!
——————
二人が叫んで消えていくのを見た後、デイナは向きを変えた。
——————
デイナ
それで、お前は誰だ?
デイナ
鉄血とは長いことやりあってないんでな、できれば一遍に大勢来てほしくはないのだが
??
うぅぅぅ――
デイナ
10は超えてくれるなよ、でないとマジにならなきゃいけなくなる
——————
……不審な影がゆっくりと歩み出た。
——————
Super-Shorty
バッテリー……
デイナ
む?
Super-Shorty
バッテリーを……ちょうだい……
——————
……バタン!
——————
……一体の弱った人形はデイナの前まで来ると倒れた
——————
……
——————
… 10分後
——————
Super-Shorty
あ……
デイナ
起きたか?
Super-Shorty
私はいったい……ここは……?
デイナ
お前は私の背中にいて、ここは地心エレベーターだ、ちょうど花崗岩層のあたりだから、もうすぐ地表だ
Super-Shorty
何が起きて…どうなったの?
デイナ
私にはわからん、お前は突然アースコンピューターの廃墟から出てきたかと思えば、私の2人の顧客を怖がらせたのだ
Super-Shorty
どうすれば…動けない
デイナ
それはお前の力がなくなっているからだ、私は太陽に背中を向けてお前を運ぶ必要がある
Super-Shorty
ええと……
Super-Shorty
その……あなたは誰……?
デイナ
デイナ=ゼイン、地球の原住民だ、女性で歳は17、先史時代の遺跡ガイドをしている
Super-Shorty
17歳?そんな風に見え……
デイナ
訂正しろ、17に足したら私はお前のメンタルモデルを取り出してシチューにしてやろう
Super-Shorty
うんと…それなら……もう一つ質問があるんだけど
Super-Shorty
私は誰なの……?
デイナ
覚えてないのか?
デイナ
おそらくバッテリー残量が少ないせいで、メモリモジュールが一時的に休止状態になっているんだろうな
デイナ
砂丘で目いっぱい日光浴したら、そのあと考える時間もあるだろう
システム
……ビー!
システム
北半球の表面に到着いたしました、持ち物と武器を身に着けていただきますようお願いします
——————
…………
——————
……デイナは人形を背負った。
——————
Super-Shorty
ここはどうしてこんなあっちこっち砂だらけなの?
デイナ
話せば長くなる、何か思い出すことはあるか?
Super-Shorty
……
——————
……Super-Shortyは一握りの砂を手に取り、それが指先を流れ落ちるのを見た。
——————
Super-Shorty
ただの砂じゃないみたいだけど…
Super-Shorty
一体なんなの……
デイナ
ふむ、お前は何者だ?なぜお前はアースコンピューターの部屋に隠れていたんだ?
Super-Shorty
私は……
Super-Shorty
まだ何も思い出せない
デイナ
わかった、お前は3年間あそこにいたようだ、そしてメンタルモデルは周囲の環境によって腐食された
デイナ
しかし、それは問題ではない、先にお前の質問に答えよう、お前はSuper-Shorty(超小さいヤツ)であるはずだ
Super-Shorty
……なに?
Super-Shorty
ち、小さいってどういうことよ!
デイナ
ああすまん、お前の名前の話をしているんだ――Super-Shorty
デイナ
お前の手にある武器を見たが、お前はそれを肌身離さず持っていたからな。グリフィンの人形は皆、武器名を名前とするのではなかったか?
Super-Shorty
たぶん……この名前はとっても嫌だけど、少なくともこの武器は……すごく馴染むわ
デイナ
それではお前たちが作られた理由は覚えているか?
Super-Shorty
それは……覚えてる
Super-Shorty
私はグリフィンの人形、で、皆が私たちを呼ぶ時は私たちの武器に由来する名前で呼ぶの
Super-Shorty
だからSuper-Shortyが私の名前。私は人間を守るために作られた戦術人形
デイナ
人類を守る?お前の記憶は工場出荷時の設定に直接戻されたようだな――
——————
……その時、エンジンの轟音が遠くから響いた。
——————
Super-Shorty
何か来たみたいだけど
デイナ
ホワイトナイトの機甲兵だな、であれば長居するわけにはいかん、行くぞ
Super-Shorty
ホワイトナイトって何?
デイナ
グリフィンシティの警備員だ、構成員は人形、人間、その他の多くは感情を持たない機甲兵だ
デイナ
地球上の現在の状況を考えると、簡単に言えば「世界警察」という理解でいいだろう
Super-Shorty
それで、なんで私たちが逃げなきゃいけないのよ
デイナ
お前は本当に利口な子供のようだな
デイナ
過度の日光を浴びた人形は怠惰になり、娯楽に参加するためにグリフィンシティに戻りたくなくなったり、社交を嫌ったり、ついにはメンタルを閉ざしてしまう
デイナ
ホワイトナイトはこの砂漠を定期的に捜査しているのだ、お前のバッテリーが80%以上あるのなら申し訳ないが、お前は強制労働に従じてそれを消費せねばならん
Super-Shorty
私は遊びたくないんだけど、まさかこれで法律を破ることになるの?
デイナ
これは首相の統治なんだ、グリフィンシティが笑顔で世界の終わりに直面するにはこれしか手はないと
Super-Shorty
それで、今どうすべきなの?
Super-Shorty
法律に触れるつもりはなかったけど、だからって逃げるわけにもいかないでしょ?
デイナ
すまないが、説明はしてられん
Super-Shorty
どういう事――
Super-Shorty
ちょっと?!
——————
……デイナはSuper-Shortyを拾い上げて、隣の車に投げ入れた。
——————
デイナ
大人しくしていろ、チビッ子。私と一緒にあらゆるところを見て、世界に慣れろ。ついでにホワイトナイトのグループを迂回しよう
Super-Shorty
これって違法なんじゃないの、デイナ!
Super-Shorty
人間は一体の人形の違法行為だって認めたりしないはずよ、あなた以外は!
デイナ
私達は世界の不合理な部分を、ただ合理的に避けてるだけだ
デイナ
なに、ほとんどの人間は気にしないさ、なにせ彼らは皆絶滅しているからな
——————
……10分後、デイナとSuper-Shortyを載せた車は砂漠を走っていた
——————
デイナ
どうだ、今どんな気分だ、チビッ子?
Super-Shorty
チビッ子って呼ばないで!
Super-Shorty
本当に……あなたが言ったとおり人類は絶滅しちゃったの?
デイナ
ほとんどはな、私たちの文明と共にだ
Super-Shorty
わからない……一体何が起きたの?
デイナ
重要なことじゃないが、たぶん何百年も前のことだ
デイナ
人形達による投票が行われた頃、3029年だ、上流の環境保護主義者達が草食動物を市民に含めようとしたんだ…
デイナ
その結果、その中の何頭かのゾウがカルト宗教の中で実験的なウイルスを人間に感染させ、それらを変異させた……
Super-Shorty
人間の文明は……ゾウによって台無しにされたの?
デイナ
いいや、当時の人権団体はウイルスに感染したゾンビの片付けを拒否してな、彼らの数が多いため投票して欲しかったのだ
デイナ
それから5年後の合同軍事演習で、反対派の第一夫人の女性にゾンビアレルギーの香水がスプレーされ、そこから世界大戦が……
デイナ
(肩をそびやかす)なんてまさかな、私たちは3029年どころか一年先どうなるかだってわからない
Super-Shorty
何ていったらいいのか、私は凄く後悔してるわ、デイナさん
デイナ
そう言うな、我々がマンモスやグリプトドンを慰めたか? ――いや、ドードーを自らの手で絶滅させることさえしたのだから
デイナ
笑いたくば笑うといい、これが今の我々の時代だ
Super-Shorty
笑えないよ、私はあなた達人間とは違うんだから!
Super-Shorty
わからない……私はどれくらい歴史に取り残されちゃったの……
Super-Shorty
人間は地球を支配する生き物じゃないの?あなた達そもそも何をどうしたのよ
デイナ
グリフィンシティには30万人の登録者がいるが、そのうち人間が占める割合はわずか1%にすぎん
デイナ
私たちは今やいわゆる原住民に過ぎず、もはやこの土地の主ではない
Super-Shorty
残りの99%は何なの?
デイナ
他は全て、お前たちグリフィンの人形だ、そこら中に溢れているぞ、あとは少数のバイオニックドロイドだな、例えばリリムのようなな
Super-Shorty
グリフィン人形のコミュニケーションの効率は凄く低いけど、どうやってみんな自分自身の力でそれほど長く生きることができるのかしら
Super-Shorty
人間がいなくちゃ、私たちはピクニックに行く班だって組めないのに
デイナ
何年か前に、退屈な生活環境を改善するために、アースコンピュータは首相としてリリムを選んだのだ。リリムは人形よりも速い処理システムのおかげで、人間に近い思考効率を持つからな
デイナ
実際、彼女は都市が機能することは保証できたものの、やる事はレクリエーション活動を維持することに限られていた、それ以外は全てホワイトナイトに任されている
デイナ
最初誰もがそれで良いと思っていた、ホワイトナイトが治安維持しているうちは、皆グリフィンシティで何事もなく過ごせると思っていたのだ
デイナ
しかし【アースコンピュータ】が消失した後、そこかしこでまずい事が起こったのだが、首相は建設的な計画を立てていなかった……
Super-Shorty
アースコンピュータ?
デイナ
ああ、私の何世代前の爺さんが死んだ時かは知らないが、彼らはアースコンピューターを作った
デイナ
それは地球上のあらゆる種類のめちゃくちゃな物を管理し、実現するのに使われた……磁場、海流、昼夜、そしてもちろん天気までも
Super-Shorty
本当にとんでもないけど……でもそれなら地球が滅びるって予めわかるんじゃないの
デイナ
そうかもな、確かにあのコンピュータが発明された後、地球全体は完全に人間によってコントロールされていた
デイナ
昼と思えば昼になり、雨と思えば雨が降り、射手座よ来いと思えば射手座が来て流星群が見れる、全て思いのままだ
デイナ
例え私たちの文明が消滅した後でさえも、アースコンピュータなら自動駆動が可能だろうとされた、だからこそグリフィンシティの人形統治は長く続いたのだ
Super-Shorty
でも、それだったら、どうして地表はどこも砂漠で覆われてるの?見渡しても何もないわ……他になんにもない
デイナ
その質問はお前にしたいくらいなのだが、記憶を失ったのが残念だ
デイナ
3年前、アースコンピュータは消失した――10分前に私がお前を見つけた場所にあったのだがな、そのあと地球上でいくつか問題が起きた
デイナ
まず第一に、地球はもはや回転運動をすることが出来なくなった、公転と自転というものがなくなっている、そうなったら後はただ毎日宇宙を彷徨うだけだ、まるで天井まで浮かんでいく気球みたいにな、はっはっはっ
Super-Shorty
また笑ってる……でも、それなら地球はもうそれでおしまいなんじゃないの?
Super-Shorty
いややめておくわ、私の常識は通用しないと思うし……
デイナ
気にすることはないだろう?少なくとも我々は生き残った、だが最悪の問題は始まったばかりだ
デイナ
あくる日、毎月10日午前8時、北半球に空から砂が定期的に落ち始め、その後、砂が世界に広がっていった
デイナ
この3年間で、地球上の90%の土地が砂に埋もれたのだ
デイナ
人形でさえこの環境にとどまることはできず、時折太陽に身を晒すだけだ。時には誤って砂の雨に埋もれてしまい、砂から引き出すようヴァルキリー隊に要請が来る場合もある
Super-Shorty
でも、あなたは全然切迫してないように見えるけど、このままじゃ本当に世界の終わりね
デイナ
方法もないからな、どのみち南半球が完全に埋没するまでには数年かかるし、娯楽を除いて他に解決策があるでもない
デイナ
人形たちは現在南半球のグリフィンシティで毎日を過ごしている、然る後に北半球の砂漠に赴いて太陽で再充電をするわけだ、バッテリーを貯めすぎた人形は砂を海に押し込む責任を負うことになっているが
Super-Shorty
うーん、もし私が首相なら、どうにかする方法を考えるのに
デイナ
誰もがお前と同じ考えであるべきなのだが、結局この世界中には何十万という考え方が砂に埋もれず存在している
デイナ
だが、ここ数カ月の間に砂がついにグリフィンシティに広がりだした、それでようやく皆が首相の怠慢に抗議するためにデモを始めている
Super-Shorty
遅すぎるわね、自分の運命をコンピュータとか娯楽用アンドロイドに委ねちゃいけなかったのよ
Super-Shorty
どおりで砂漠で誰も見なかったわけだわ……
デイナ
ホワイトナイト以外に砂漠で誰かに会うべきではないがな、しかし……
デイナ
待て……
デイナ
エンジン音が聞こえなかったか?
Super-Shorty
7時の方向ね
Super-Shorty
……音は1つだけじゃないみたい、しかも別のタイプよ!
ジェリコ
鉄血のアーキテクト、逃げられはしません、直ちに抵抗をやめなさい!
アーキテクト
ふふん、本当にそれでフルスロットルなの?
アーキテクト
そんなスピードじゃ私に追いつけないよ、ほらもっと上げてくよ!
デイナ
ハ!まさかこんな運がいいなんてな!
デイナ
ホワイトナイトが来たのは私達を捕まるためじゃなく、鉄血の人形を追跡して逮捕するためか!大人しくしてろ、スピードを上げるぞ!
Super-Shorty
え?鉄血?
Super-Shorty
……私の記憶にいくつか断片があるけど、私あいつらのこと嫌いかも!
デイナ
好きじゃないだろうな、鉄血はずっと世界中の敵として理由や目的もなくグリフィンや人間を攻撃することを専門としてる
デイナ
しかし、3年前の世界的な砂の雨の後、彼女らの時代は終わった
デイナ
今では鉄血によって作られたアーキテクトという名前の一人だけを残すのみだが、砂以外じゃ彼女はこの地球で最悪のヤツと言えるだろうな!
Super-Shorty
危険分子じゃない!じゃあどうしてそんな嬉しそうなの?
デイナ
情に違わず、理に適っている上、かつ合法的に地球最後の一人の悪人と戦えるのだぞ、これ以上に満足のいく仕事があるか?
Super-Shorty
おかしいんじゃないの、市警から犯人を横取ろうだなんて!
Super-Shorty
デイナ、私は何も覚えてないっていったけど、でもこんなの良くないわよ!
デイナ
記憶を失う前のお前がホワイトナイトの隊員でないことを願うよ――シートベルトを締めろ、我々は全速力で追い上げねばならんからな!
Super-Shorty
きゃぁぁぁぁ!
Super-Shorty
ちょっと!このスピード――この車、非合法のカスタムしてるんじゃないの!
アーキテクト
あらぁ、ニューチャレンジャーの登場かな?
デイナ
久しぶりだな、アーキテクト
アーキテクト
あんたの事は覚えてるよ、第2ラウンド開始ってヤツ?
デイナ
望むところだ、だがお前の連れている雑魚たちが鬱陶しいな?
アーキテクト
そっちだってちっこいチームメイト連れてるじゃん!可愛いボディね!
Super-Shorty
小さいっていうな!
アーキテクト
さあ、フェアプレイでいこうよ!勝った方は相手か、相手の命を貰えるよ!
アーキテクト
注意してあげると……原住民の命は1個だけなんだから、安全運転よろしく!
アーキテクト
さぁさぁ!ゲームスタート!あははははははは――!!