このサイトに掲載している翻訳等の方針についてはこちら
第4話 「防腐剤」(前編)
——————
……指令室内
——————
P7は権限を手に入れると、大急ぎでデータのダウンロードを開始し、基地の午前中の人員移動モデルを構築した
——————
P7
ああ、ようやくここまで来たわ……この事はきっと指揮官にも自慢できるわね!
P7
なんてあくどい犯人なの、妄想病に私達の基地を巻き込むなんて!
P7
ひょっとしたらこれで一気にグリフィンを救えるかも、そうでしょ、KSVK――
KSVKト
うぐっ……!
——————
背後からうめく声が聞こえ、P7が振り返るとKSVKは床に倒れ、指令室のゲートの前に、銃を構えたP90が佇んでいた
——————
P7
ななな……?
P90
安心して、ただの手刀だよ
P90
P7、あなたこそ基地の警報システムを破壊して、何をする気?
——————
P7が繰り返し考えていた一つの解釈が、まさに指令台上のモデルに構築されていた
——————
――さっきの監視映像中の不審な人影は、まさしくP90だった
——————
P7が立ちすくんでいると、銃を構えたP90がゆっくりと彼女の方へと近寄ってきた
——————
……
——————
P90の歩みが止まった
——————
P90
ふぅん?私に銃を向けるなんて……どういうつもり?
P7
あんた、あんただったのね!
P7
今日の午後からコソコソと私のあとをつけてたのは!
P90
……あなたをつけたですって?何のことを言ってるの?
P7
まだしらばっくれるの!伝染病もあんたがやったんでしょ!
P7
監視システムを見たんだから。あなたが今朝いた所がパンデミックの発生元区域よ、偶然とは言わせないわ
P90
偶然でしょ、わ、わたしがどうやって伝染病を持ってこれるのよ、馬鹿言わないで!
P90
あなたこそ、その手のおかしな色斑はどういうことよ?
P7
これは不注意でつけちゃったやつで……
P90
感染した人形だとは思ってたけど、P7、まさか……この伝染病、あなたこそ感染源なんじゃないの?
P90
いま指令室に潜入してるのも、監視映像の証拠をを廃棄するつもりだったんでしょう!
P7
で、でたらめだわ!
P7
ふん、絶対あんたをつかまえてやる。そしたら指揮官に引き渡してやるわ!
P90
気が合うね、私も同じ気持ちよ!
——————
……それと同じ頃
——————
鉄血のアジトにて
——————
特捜小隊は数々の障害を打ち倒し乗り越えて、ついにアルケミストの前に辿りついた
——————
アルケミスト
あぁ、本当にしぶといドブネズミどもだ
アルケミスト
一度敗れたグリフィンに手心など加えん……お前達を痛めつけるのは他の人形にそうするよりも面白そうだ
スピットファイア
ふん、勝敗はまだわかりませんよ
アルケミスト
間抜けな奴等だ、私が病気をばら撒いたと思ってるとはな……
アルケミスト
だが、もし自分で運命を決めることが出来るんなら、そうするのも悪くないが
ウェルロッドMkII
そんな邪な考えをするのであれば、出来るだけ早く捨てたほうがいいと忠告しておきましょう
アルケミスト
お前達は間抜けだが、今はその間抜けさが可愛らしくすらあるな
アルケミスト
お前らは結局自分達がどれほど間抜けな事をしているかわかってもいないのだろう?
アルケミスト
そもそも人形の身に起こりえないことのために、こんなところまでドンパチしに来てるんだからな
スピットファイア
大事な仲間達に生きてほしいという気持ちがそうさせるのです、鉄血のクズにはわからないでしょうけどね?
アルケミスト
そうかな……
アルケミスト
ふん、もし鉄血に理解できないとして、グリフィンだけじゃあ今日この場所を見つけることさえできなかったろうさ
ウェルロッドMkII
……どういう意味です?
アルケミスト
なんてこと無いさ……
アルケミスト
私たちはお互いに……共通点があることなんて決して認めたりしないだろうな
スピットファイア
……
スピットファイア
これ以上は問答無用です!
スピットファイア
ウェルロッド、行きましょう!今日という日を……奴らの命日にしてやります!