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第6話『スピーチ恐怖症』(前編)
ドロシー
私は……
ドロシー
私はどこにいるの……
ドロシー
それに……
ドロシー
私はなにを……
ドロシー
ええ!どうして足が勝手に動いてるの?!
ドロシー
ここはどこ!私はまた何してるの!
ステラ
大きな声を出すな、ホワイトナイトの機甲兵が私たちを探してる、前進に集中しろ!急げ!
ドロシー
ステラ?
ドロシー
何が起きたの。私は……姉さんに乗っ取られてたんじゃ?
ステラ
アナは突然お前のコントロールを解除したのだ、私がお前に潜入するチャンスがあったので、お前の体を操作している!
ステラ
……ドロシー、どうかしたのか?
ドロシー
な、何でも……
ドロシー
ただ、こ……こ……こん……な……
ステラ
アナが何をする気か知らんが、これが逃げる唯一のチャンスだ――
ドロシー
侵略されて……操られて……
ドロシー
こんな……こんな操作なんて……
ステラ
ドロシー……?
ステラ
様子がおかしいな、すまんがあまりにも長い間侵入したせいで、お前のメンタルを壊したかもしれん
ステラ
お前が後でキャッシュクリアするのを手伝ってやろう、そしたら過熱したモジュールを冷却して――
ドロシー
いやぁぁぁ~!
ドロシー
もう我慢できない――! !
——————
……ドロシーが急に加速して飛び出した!
——————
ステラ
ドロシー、待て!正面は――!
ドロシー
ステラ、私の中に!もっと強く私の中に入ってきてぇ!!
——————
……ゴン!
——————
ステラ
ああ……ドロシー?大丈夫か?
ドロシー
うぅ……
ドロシー
壁にぶつかったから、検査が必要かも……
ステラ
起きろ、ホワイトナイトがまだ後ろにいる!
——————
……ステラは前の壁を見た。
——————
ステラ
……くそ!こっちは行き止まりか!
ステラ
この建物の見取り図を見たが、ここに通路があるはずなのだが……
??
それは隠し通路だからよ
ステラ
?!後ろの壁から声が……
ステラ
それにこの声は……
ステラ
セイ!セイなのか?
——————
……ステラの前の壁がゆっくりと開き、女性のホワイトナイトが現れた。
——————
セイ
久しぶりね、ステラ
——————
………ステラはしばらく言葉を出せずにいると、引っ張ってセイを抱きしめた。
——————
ステラ
ああ……
ステラ
どうしてお前が……
ステラ
まるで……夢みたいだ……
ステラ
ここで死んでもいいと思ってる
セイ
(笑)何言ってるのよ、ステラ
ドロシー
ああ……目が覚めたわ
ドロシー
あなた達何してるの!まずはここを離れないと
セイ
こんばんは、ドロシー首相
セイ
電撃隊765師団、セイ=P=アサギリ(Sei P.Asagiri)、尽力いたします
——————
……セイは2人を隠し通路に連れて行き、そしてドアを閉めた。
——————
…… 3人が暗い通路の中を進んだ。
——————
ステラ
お前がここに来るとは幸運だった……セイ、お前が来るとは……
セイ
来る途中の色んなニュースで聴いたのよ、ドロシー首相、アナ、そしてあなたの事もね、ステラ
セイ
それから私はまっすぐ駆け付けたんだけど、結果的には正しかったみたい
ドロシー
本当に秘密の通路なんてあるのね?私も知らなかったよ!
セイ
これはホワイトナイトの秘密の逃走ルートで、隊長レベルの隊員だけが使う権利を持っています
セイ
歩き続ければ、本部の裏口から出るのに約10分というところです
ステラ
お前はまだ副隊長なはずだろう、しかもただの人間だ
セイ
うん、けどジェリコ隊長は私に権限を与えてくれたの
セイ
人生が一度だけなら原住民の方にこそこれが必要でしょう、と彼女は言ってたわ
ステラ
セイ……
ステラ
ジェリコはどうなった?
——————
……セイはため息をついた。
——————
セイ
ステラ、あなたは私にあんなことさせといて、彼女がどうなったか私に聞くのね……
ステラ
すまない、だが……
ステラ
私は……人形はメンタルモデルでバックアップすることが出来るものだからと考えていた……
ステラ
そして、お前はただ彼女を引き付けてくれるだけで良かった……何も起こらないと思ったのだが……
セイ
何も起きないわけないでしょう、ステラ!
セイ
あなたが私にさせていることを見てよ!ジェリコ隊長は忘れるけど、私はどうなるの?私はこれをずっと覚えてるのよ!
ステラ
すまない、お前を巻き込んで……
ステラ
もしできるなら、記憶除去手術で……
セイ
私はジェリコ隊長を殺してなんかないわ
ステラ
何……
セイ
彼女は最初私に殺されることを望んだの、私のために
セイ
最初の一発は逸れたわ、そして私は……2発目は撃てなかった
セイ
私は彼女を残して外に出た、そこで救援を呼んだの……私は彼女が生き残ると信じて、彼女は私たちの側に立ってるって信じてる
ステラ
理解した……だが今は言ってる場合ではなかったな
ステラ
本来の私の計画では……傘ウイルスが全てのグリフィン人形をコントロールし、ドロシーを捕まえてからアナ引きずり出すことで、全ての問題を解決するつもりだった
セイ
どうやって鉄血のトップになったの?
ステラ
私はかつてアルマに依頼をした……鉄血を調査するための地球上で最高のハッカーだ
ステラ
その後の合意と契約を交わした夜に、アルマは私の知らないところでホワイトナイトに逮捕された……あれは私も焦ったよ
ドロシー
そんなの知らないよ!きっと姉さんね……あの人に違いないわ……
ステラ
それで、アルマとの以前の協定に従って、私は任務を請け負っていた人形が定めていた引き渡し地点に出向いたのだ
ステラ
結果として、私はSuper-ShortyとIDWは見つけられなかった、しかし彼女等は任務を完了していた……
ステラ
……鉄血のエルダーブレイン――エリザのボディが引き渡し地点にはあった
ステラ
私は彼らの犠牲裏切るわけにはいかなかったので、エリザの内部構造を研究し、彼女が使用していた鉄血製のモジュールを解析した
ステラ
そして私は調査を続けることで真実を知った、鉄血、アースコンピューター、アナの事も……
セイ
本当にあなたらしいわね、ステラ
ステラ
私は誓った、グリフィンシティを救うためにあらゆる代償を惜しまないと……
ステラ
だが今のように制御の効かん状態になるなど、全く想像もしていなかった……
セイ
あなたが全部制御できるわけないでしょ、ステラ
セイ
あなたは昔からそうだったよね、他人について本当に考えてるけど、でもいつも……過酷な道に行って
セイ
あなたは合理的すぎるのよ、いつも自分自身で全ての問題を引き受けたいと思ってる、だけどそれは他人の感情を無視することに繋がるんだよ……
ステラ
だが私は思うのだ……ただ結果さえ良ければそれでいいと、代償が受け入れられるなら、それこそが合理的な策であると
セイ
あなた正しいのかもしれないけど、でも全部がそうじゃないよ、あなたは何もかもが出来るわけじゃない
セイ
大抵は、命令より信じられるのは信頼よ
ドロシー
そうだよ!あなたが前もって私と話し合ってくれてたら、少なくともあなたと私の状況は間違いなく今より良かったはずだし!
ステラ
だ、だが、私がしたことも有用だっただろう!
ステラ
少なくとも、この事件のラスボスであるアナを引き出したのだから
ドロシー
はいはい。で、姉さんは今どこにいるの?
ステラ
確かにそれは問題だが、世界には存在できない人間などいないだろう
セイ
(笑)どうして早口なのかしら?
セイ
でも、今回はあなたが正しいかもね、ステラ、あなたは私が今まで見た中で最も賢い人よ、どうやって手がかりを見つける?
ステラ
正直わからん……
ステラ
今回敵は私の理解を完全に超えている、彼女は本当に 「神」かもしれん……
セイ
ただの幽霊かもしれないわよ、ステラ、彼女が何であっても関係ない
セイ
私がアポロ信託銀行で鉄血に囲まれた時、あなたなんて言ったか覚えてる?
ステラ
一人でも最後まで希望を失ってはいけない
セイ
そう、それから私は建物から飛び降りて一命をとりとめたわ
セイ
それにまだ「最後」じゃないよ、ステラ
ステラ
そうだな……
ステラ
お前がまだ傍にいる、まだ最悪の時ではない……私はまだ希望を捨てていない
ステラ
しかし、今回私は自分自身に頼るだけではない……
ステラ
ドロシー、姉について他に何が考えられる?何か手がかりはなりそうなものは
ドロシー
うんと……
ドロシー
VA-11区にあるバー知ってる?平民区の通りの角にあるんだけど
ステラ
その名は……前にキラ☆ミキ(* Kira * Miki)のブログでそれを見て、前に数回そこに行ったことがある、そこがどうかしたか?
セイ
VA-11 Hall-A?
ドロシー
うん、みんな行ったことあるんだね!私も何回か行ったよ!
ドロシー
アナは前にこんなこと言ってたの……
ドロシー
あの人は言った……あそこが全ての始まりだって
ステラ
全ての始まり?平民区にあるバーが?
ステラ
そのバーに関して何か特別なことでも?
セイ
私はほんの数時間前に初めて行っただけだけどね。ジェリコ隊長におススメされたの
セイ
それは石鹸と犬のおしっこの臭いでいっぱいで、マスターは面白い人だったよ、でも単なる普通のバーだったけど
セイ
それに……普通のバーよりも普通だったわ、凄いお酒があるわけでもヌンチャク振り回すみたいなパフォーマンスがあったでもないし
ステラ
それなら猶更私達は見に行かねばなるまい、そこに隠された秘密があるかもしれん
セイ
危険すぎない?もしアナもいるなら……
ステラ
アナはおそらくそこにはいないだろう、彼女は少しドロシーに乗り移ったが今に至っても再びコントロール出来てるわけではない、何かがあったに違いない
ステラ
念のためだ、セイ、ジェリコにメッセージを送ってくれ、ホワイトナイトをそこに集めるようにと
セイ
わかったわ、でも、彼女が私に約束するかはわからないよ……
ドロシー
グリフィンシティ全体が混乱しているけど、私たちだけが世界を救うことを望んでいるわけではないわ、みんな間違いなく行動してくれるはず!
ドロシー
もちろん、私たちがバーに行くのであれば、片づけなきゃいけない問題が沢山あるわ
セイ
私たちはすぐにその問題に直面するでしょうね
セイ
みんな、私たちは本部を離れる必要がある。少なくとも数十の機甲兵がこのゲートを開けたら待ってるわ
ステラ
お前は私に奪取する時間をくれ、私達の助けとなるよう出来るだけ早くより多くの人形を統制する
ドロシー
そんな危険はドロシーちゃんにお任せ!私の体はこんな時のために改造してあるの!
セイ
あなたの手はMIRD113ね
ドロシー
……指先からクラス5の弾丸を撃つことができるのよ!まあ、私はそんなにセキュリティを必要としないんだけど!
セイ
準備はいいわね。行くよ!
——————
……セイは武器を掲げ隠し通路の扉を開いた。
——————
……バンバン!バン!
——————
……そして三人は、本部の外が混乱の最中にあり、地面がホワイトナイトの機甲兵の残骸で一杯になっているのを認めた。
——————
人間のSP
ドロシー首相、大丈夫ですか?
K
あっ、お前たち、やっと出てきたのか!
ドロシー
ハハハ、原住民は信頼できるって言ったでしょ!
セイ
私は現場の人間と人形に建物から逃げる時間を稼ぐようお願いしたの
セイ
まさか……まだ持ちこたえてくれてるなんて思わなかったけどね
ドロシー
ステラ、傘ウイルスが必要じゃないことだってあるよ。みんなが助けてくれるでしょ
ステラ
命令よりも信用できるもの、これが信頼……
WA2000
ステラ応答して
WA2000
……左に避けて
——————
……バーン!
——————
……飛びだしてきた機甲兵が弾丸に撃ち抜かれた。
——————
ステラ
うむ、お前まだ逃げてなかったのか?
WA2000
何言ってるのよ?あなた以外で誰が私の出演料を払う余裕があると思ってるのよ?
ステラ
私が生き残ったら、2倍弾んでやろう
ステラ
みんな!私たちにはまだ希望がある。私に力を貸してくれ
ステラ
だが今度は、私は再び傘ウイルスを使用しない、お前達がお前達自身の意志で助けてくれることを願う!
MP5
あ……あの人は私を助けてくれた……
MP-446
MP5にぶつかった変な原住民の人だ!あの人幽霊なんじゃ――
ドロシー
グリフィンシティのみんな!私の言う事聞いてほしいな!
ドロシー
私は過去にいっぱい間違いもしてきたし、そして多くの問題を避けてきたわ
ドロシー
確かに私は間違ってた、今は、あなたと、全ての人間、全ての人形、そして全てのボルトと、生物細胞の皆のこと見てるの!
ドロシー
私はずっと知ってたの……誰かがグリフィンシティを夜の帳の裏から全部操ってるって事
ドロシー
私はみんなが同じくらい臆病で、真実に直面することなんてできないと思ってた、だから私は街の秘密を隠すように努力して、都合のいい事だけを言っていたの……
ドロシー
でも、今日は、みんなこんなにも勇敢に戦ってくれてる!私はみんなの勇気を過小評価してたわ、みんな心に希望を持ってる!だから……
ドロシー
私!ラブリーなドロシー=ヘイズちゃんが!
ドロシー
皆に私たちを助けてほしいってお願いします!グリフィンシティには、地球の最後の希望があるの!最後までこの街の裏にいる敵と一緒に戦ってください!
MP-446
ドロシー首相だ!やっと言ってくれたね、待ってたよ!
K
へぇ、ちょっとは首相らしいじゃないか
MP5
わ……私も……お助けします!
MP5
スティグマ最大効率まで上昇、グリフィン人形の力を見せてあげます!
人間のSP
うぉぉぉぉぉ!
人間のSP
ドロシー首相に心臓を捧げよ――!
セイ
現場の雰囲気が一気に盛り上がったね
ステラ
認めなければならんな、お前たちは私と全く違うやり方で事態を処理することを、しかも非常に効果的だ
ドロシー
でも、今の目標は同じだよ!
ドロシー
でも、安心してられないよ、街はホワイトナイトの機甲兵でいっぱいよ、私たちで倒さないと!
セイ
そのとおりね、目標はVA-11のバー!私たちが道を先導するわ、出来るだけ早く向かいましょう!