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第1話『ディジェリドゥ吹奏指南』(後編)
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……カーチェイスはまだ続いていた、デイナとアーキテクトの車が並走し、ホワイトナイトがその後ろに続いている。
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Super-Shorty
デイナ!前を見て!正面は崖よ!
アーキテクト
ふふん、諦めてないのね、やるじゃん!
デイナ
当然だ、お前は私の最後の獲物なんだからな……チビッ子、しっかり掴まっていろ!
Super-Shorty
ああああ、あなた何するつもり!
デイナ
お前が思ったとおりのことだ!そう、まさにな!
Super-Shorty
正面は崖だって言ったでしょ、頭おかしいんじゃないの!?
デイナ
お前は人形だろう、壊れてもまだどうにかなる!
Super-Shorty
あなたの心配をしてるのよ!だれが私をここから連れてくのよ!
デイナ
安心しろ、私にいい考えがある!掴まってろ!
アーキテクト
まだブレーキをかけてないの、人間?私のダミー3体賭けてもいいけどあなたより私の方が反応は早いよ!
デイナ
だろうな、ブレーキが利くのは私よりお前の方が早いだろう
デイナ
しかし、私はブレーキをかけるつもりはない
アーキテクト
え……?!
デイナ
親愛なる者よ――
デイナ
……一緒に地獄に行く準備はいいか?
Super-Shorty
きゃぁぁぁぁ――!
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……バーン!
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……デイナの車がアーキテクトの車に衝突し、両者が同時に崖から落ちていった。
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……
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…………
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Super-Shorty
コホコホ……コホ……
Super-Shorty
くそ…デイナ!デイナ、どこにいるの!
??
ビー……ビー……
??
……誠に申し訳ありませんが、おかけになった電話番号は現在通信のとどかない場所にございます
Super-Shorty
……!
Super-Shorty
……アーキテクト!コホコホ……
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……アーキテクトは体の埃をはたくと、髪整えた
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アーキテクト
楽しかったよ、おチビちゃん、でも私を捕まえるには、先住民やあなたのみたいなチビッ子だけじゃ足りないね
アーキテクト
……どきなよ、私にはまだやることがあんの
……スーパーショーティは苦しそうに立ち上がると武器を構えた。
Super-Shorty
一つ、私は自分が小さいって言われるのを許さない
Super-Shorty
二つ、あなたをここから逃がすわけにはいかない
アーキテクト
うん?私前にあなたとやりあったことある?
Super-Shorty
私は覚えていないわ、でもあなたが嫌いってことは覚えてる……
アーキテクト
なんか変ね、死刑執行人が憎いってことだけ理解してるなんて、誰が教えたのかしら
アーキテクト
……で私をどうするの?人畜無害な女の子が私に傷を付けられるとでも?
アーキテクト
さ、そこをどいて、でないと本気で怒らないといけなくなっちゃうから
Super-Shorty
……そうはさせない
アーキテクト
……
アーキテクト
(ため息)この距離で撃つのは好きじゃないんだけど、出来ないわけじゃないよ
アーキテクト
あなた自身の選択よ、おチビちゃん……
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……■!
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……バタン!
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……アーキテクトはふらふらとすると、地面に倒れた。
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デイナ
ふぅ……大丈夫か、チビッ子?
デイナ
パンを持ち歩けば役立つ日が来ると、いつだか友人がいっていたがその通りだったようだ
Super-Shorty
そのパン……それ使って人形を倒したの?
デイナ
フランスパンだ、ゴマつきのな
デイナ
さて、チビッ子、大丈夫そうに見えるが、次はこんな危険は冒すなよ
Super-Shorty
どうしてだかはわからないけど、私の鉄血嫌いは説明はできないわ……
デイナ
はは、前は本当にホワイトナイトだったんじゃないか?
??
私達ホワイトナイトにはそのような小さな子はいませんよ
デイナ
ようやく来たか、ジェリコ、砂にタイヤでも取られていたのか?
ジェリコ
私たちがここまで来たルートはあなたのそれほど過激ではないからです
ジェリコ
どんなところでも貴方に会っている気がしますよ、デイナ、私は早く慣れないといけないらしいですね
デイナ
私もホワイトナイトの出現には慣れていないぞ、特に同じ目標を定めている時は
ジェリコ
我々が通常あなたがやっているような行動を指す時はこういいます…「公務妨害」と
デイナ
そうなのか?私はそれを「友情」と呼ぶが
ジェリコ
そう思っているのは人類だけですよ、それに私が欲しいのはもっと現実的なものです
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……ジェリコは無意識のアーキテクトを足で小突いた。
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ジェリコ
目標の頭部は無傷、車まで運んで彼女の記憶モジュールをスキャンします
ジェリコ
最後の鉄血、ようやく捕まえました
デイナ
私の車は壊れているんだが、メンテナンスの妖精を報酬として貰えないか?ついでにお礼を言ってくれてもいいぞ?
ジェリコ
まず第一に、これはあなたの車じゃないでしょう、それにあなたが現れたせいで私の計画が乱れました……万が一でもあなたが彼女の頭を壊していたら、あなたを捕縛していたでしょう
ジェリコ
デイナ、戒厳令に書かれている「もし敵となるものに遭遇した場合、それを傷つけることを禁ずる」というのが見えないのですか?
Super-Shorty
あのアーキテクトって奴はどうなるの?
ジェリコ
彼女が何者であるかの情報は不十分ですが――この小さな方は?
Super-Shorty
小さいって言わないで!
ジェリコ
原住民は百年前に個人用に人形を雇用する事を禁止されているはずです、デイナ、どういう合法的な手続きをしたんですか?
デイナ
彼女は私が先ほど拾ったばかりだ、自分が何者であるかを思い出せないようだったのでな、彼女を鉄血がいる場所に置いておく事など私には出来ん
ジェリコ
わかりました、ですがしばらくお別れをしてもらってもいいでしょうか
Super-Shorty
どうして?
デイナ
おい、彼女は過剰に日光を浴びたわけではないぞ
ジェリコ
デイナ、私達はホワイトナイトの中でも最高精鋭である電撃隊第765師団です、どれだけ日光を浴びたかなど気にしません
ジェリコ
私が気がかりなのは、鉄血と接触した外来人形は誰であって【傘】ウィルスに感染しているかもしれないということです
ジェリコ
……何処から来たか不明となれば尚更です、私は部下に彼女をグリフィンシティの基地に連れて行かせ、検査を行わねばなりません
Super-Shorty
【傘】ウイルス?
デイナ
鉄血が持つコンピューターウィルスだ、一度グリフィンの人形の体内に侵入すると、鉄血の主導者――エルダーブレイン【エリザ】によって、敵である鉄血の駒としてコントロールされてしまう
ジェリコ
我々の部隊の最終目標はエリザを捕らえ、鉄血がグリフィンシティにもたらす悪夢を完全に終わらせることです
ジェリコ
以前に捕えられた鉄血はエリザの情報を持っていませんでした、しかし今、最後の鉄血が逮捕されました、情報は彼女の頭の中になければならないはずです
ジェリコ
運が良ければ、私達は今日こそエリザを捕まえて、完全に鉄血の暴動を終わらせることができるでしょう。ですが念のために、検査は必要です
デイナ
幸運を祈る前にだ、ジェリコ。それはそれとして、私を彼女と一緒に基地まで同行させてもらえるか?
ジェリコ
あなたと彼女は本当に知り合って一時間なんです?まるで生まれついての妹のことみたいに聞こえますが
デイナ
これこそ先住民スタイルだ、好感度など無くとも、相手の心はすっかり見えるし、何より彼女が私のimouto(妹)と同じくらいかわいいからな!
ジェリコ
わかりました、あなたのことをずっと前から知っていますが、あなたについて良い感情を持っていないのと同じですね
デイナ
お前は本当に頭が固いな、ジェリコ
デイナ
だが、私に報酬をくれる時のお前の事は好きだぞ
ジェリコ
(ため息)あなたがやったのは公務妨害だといったはずですが……
ジェリコ
ですが、どう処理するか結果は首相の意見にかかっています、彼女に電話をさせてください
Super-Shorty
……
デイナ
心配するな、チビッ子、ただ普通の身体検査だ
デイナ
せいぜいコートを脱ぐくらいで、おそらくスカートは履いたままだろう
Super-Shorty
怖がってるわけじゃないの!
Super-Shorty
ただ……一度にたくさんのことが起きて、理解が追いつかなくて……
デイナ
お前なら大丈夫だ、グリフィンシティは良いところじゃないが、砂みたいにお前を取って食いはしない
ジェリコ
よし、良かったですね、デイナ
デイナ
私の巨額の報酬はどうなった?
ジェリコ
あなたとこの小さい方は私たちの車に乗って戻れます、検査が終わればあなたは彼女をつれていっても構いません、これが私からあなたに渡せる報酬です
デイナ
これがあのリリム首相の寛大な補償案であるなら、少しも以外じゃないな
ジェリコ
満足ですか、首相は最近どうにもならないほど忙しいのです、しかもあなたが掴まえた車はそもそも世界最精鋭であるホワイトナイト部隊のもので………誰かこちらへ、現場を片付けてください
Super-Shorty
今からグリフィンシティに行けるの?
デイナ
その通りだ、お前はまだ何も思い出さないようだがな…
デイナ
だがグリフィンシティでなら、絶対に良いことがあるさ